湿邪;漢方薬の話



例えば「なんだか具合が悪い」と思った時、わたしたちは病院に行って、検査をします。この検査には判定基準があって、比較的一律で、基準に照らし合わせた証拠をもとに「病気認定」が行われます。

一方漢方薬の考え方には「病気認定」というものがありません。その症状が出ているのは「何か体の中でバランスが崩れている」と考えます。だから、バランスを整えることを目標として漢方薬を処方します。



バランスが崩れる要因に邪があります。いろいろな邪があるのですが、ここでは気候に伴う邪をご紹介します。わたしたちが一番馴染み深いのが風邪です。現代ではカゼと読みますが、漢方薬の中では「フウジャ」という邪を指します。

そのほかに、日本では特にその存在がさまざまな不調の原因となっている湿邪(シツジャ)があります。

わかりやすい例では、梅雨の時期体調が悪くなる人。膝が痛むから雨が降るとかわかる人。雨の日に足腰が痛む人。むくみやすい人。こういう人はすっごくわかりやすい湿邪を持っています。

それから、ここ数日東京では急に暑くなりました。ただ暑いだけじゃなくて湿気も高い。ここで、バタバタと体調を崩す人が現れます。わたしもその一人でした(2日ほど寝込みました)。


もともと体内に不要な湿邪を持っていると、こうやって気候が変化して湿気が多くなったタイミングで、その湿邪が体内で悪さします。暑いから余計に湿邪が邪魔モノに(湿は熱の発散を阻害)なります。急激に気温湿度が上がって、体が重だるく感じたり、軽いめまい、頭痛、発熱があったりした方(今でもあるかも)多いのでは?


日本は四方を海に囲まれているため湿気を帯びやすい気候ベースがあります。漢方薬が生まれた本場中国は乾燥した大陸のためあまりこのような症例は出ないのです。漢方薬が日本に伝わってから独自の変化を遂げたのも、一理あるのですね(中医学と日本漢方)。


風や湿以外の邪もありますが、今日はここまでにしておきます。日本にお住いの方は、自分が無駄な水分を持ちやすい気候にいることをよく知っておいてください。お酒をたくさん飲む人とか、お水を1日2リットル飲む人とか。それ自体は決して悪いことではないけれど、無駄なお水はちゃんとさばかないと、むくみどころかもっと面倒になります。


からだ、整ってますか?


バランスを保つために、まずご自身の身体を意識するところから。