権力とランク;漢方の視点から


昨日、「自分には気などというタイソウなものは無い」という方に出会いました。ドラゴンボールでいうと、かめはめ波みたいなやつとか、青い炎が体を包むみたいなイメージをお持ちなのだそうでした。なので、今日は気という概念を説明しながら、組織内の権力について考えてみようと思います。


よく英気を養うと言いますね。「鋭気」などと書く方もいるそうですが、漢方の考えでいうと英気です。


「気」という概念は漢方では必須事項です。「気」こそすべての源であり、目に見えないもので、現代用語で言う「エネルギー」に相当します。わたしたちが生きているのも「気」があるから。生きるためにはこの「気」が必要で、車で言うと車体です(目に見えてしまうのですが他にいい例えが浮かばないので使います)。


動く力を持っていて、色々な作用を持っています。例えば、私たちが温かいのは気の温煦作用によるものです。私たちの血液が身体中を巡るのは気の推動作用によるもの・・・など。


そんな大事な気ですが、役割によって呼び名が変わります。体表部近くで身体のバリアを担当しているのを衛気(エキ)、血管の中で働いているのを英気(エイキ)、胸(心臓)の中で働くのを宗気(ソウキ)、そして体全体の気を「正気(セイキ)」と呼びます。それぞれのところで働く気が、中に侵入しようとするかもしくは内部で発生した邪(ジャ)と争って『邪生相争(ジャセイソウソウ)』が起こります。身体の中ではどの気も大事です。名前が違っても働く場所が違っても、どれも生命維持に必要です。


さて、企業に置き換えると、役割で名前が変わるというと役職などがありますね。漢方の概念と違うのはランク(権力)があることです。そのような概念を手放している企業(ホラクラシー型経営)もありますが、大概の企業ではまだまだ役割を主としたヒエラルキー型だと思います。もし体内の気にランクがあったらどうなるでしょうか?まあどの気がピラミッドの頂点になるのかわかりませんが、



<<<体内劇場>>>
登場人物
部長―S
課長―A
係長―E
特別出演 邪気(ジャキ)

邪気「(ノック音)オタク、入らせて貰うで〜」

E「はっはい、えーとお名前は?(ビジネスマナーなってねーヤツ)」

邪気「邪気やけど・・・(お名前?!この悪名高き邪気様を知らんとはまったくこのこの体も弱ったものだな。)」

E「邪気様ですね、まずはA課長の指示をもらって来ます〜しばしお待ちを!」

邪気「待てっておい、敵やで、まったくこの身体隙だらけやな〜・・ま、ええわ、せっかく扉開けてくれたしラッキー!お邪魔します〜ウシシ」


E「A課長、すぐそこに邪気さんがいらしております、入りたいそうですっ!」

A「Eくん、ハイハイ、そういうのは報告書書いてS部長の机に置いておいて。出勤されたら確認してくれるはずだから。」

E「わかりました!◯時◯分に肩胛骨の間にノック音あり、邪気様入りたいとのこと。」

S「(出勤開口一番報告書を見て)えーと、A課長、報告書のここね、ちゃんと場所書いてくれないと本社から戻って来ちゃうからさ、悪いけどEくんに言って書き直してもらって」

A「わかりました、Eくんちょっといいかな〜?」

E「はい、A課長、今行きます〜!」「邪気さん、すみませんっ!報告書書き直さなきゃいけなくて・・・あれっ??」

邪気はもうすでに入っている・・・。


<<<幕閉じる>>>



これじゃあ病気になっちゃうよね。というわけで、体内にランク(階層や権力)があるということは生命維持に不要ということで、その場の役割の気が責任を持って役割を遂行するというのが身体の中では常識です。


さて、この体内劇場、企業組織ではあるあるでしょ?その良いところがたくさんある一方、上のようなことも起こりがちですね。貴社ではどのようなことが起きていますか?今は変化の時代。体内を見習って役割を疑ってみるというのもありですね。




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