病気とは;漢方の視点から


漢方薬の病気に対する考え方は、現代の西洋医学のそれとは少し異なります。

もしあなたが便秘になって、標準的な西洋医療を提供されている病院に行ったら、溜まった便を出すために下剤をもらうと思います。もしあなたがガンと診断されたら、ガンを取り除くための手術や治療が行われるでしょう。いずれも、局所的に悪いものを取り除くという考え方がベースにありますね。

一方漢方薬の場合。邪正相争(じゃせいそうそう)と言うのですが、体の中で邪気と正気の力比べがあって、邪気が勝ると症状が出るという考えをしています。ですから、邪気を除くというのも一つですが、正気を強めるという治法も検討されます。

上の便秘の例を取り上げますと、まず便秘になったのがどんな理由からなのか徹底的に調べます。どんな食生活をしていて、女性だったらホルモンバランスのこと、年齢、体型、体質、ストレスの有無・・・総合的に聞いた上で何が原因となっているのかを特定します。そして、何かが不足して、あるいは何かが滞って便秘となっているならばそれを補うなり滞りを無くすなりという処方を行います。もしストレスが絡んでいるのなら、その対処をします。便秘で病院に行ってストレスなんて、と思われるかもしれませんが、それらをどうにかしてあげれば便秘は起こらなくなるわけです。これが漢方薬は体質改善と言われる所以ではないかと思います。

さて、企業の中で「あの人(部署)は会社のガン」などという言葉が出てくることがあります。その背後には「あの人(部署)さえ無くなれば良くなる」という意味も含まれています。そういった意味で企業も比較的西洋医学的な考え方ではないかと思います。売上の上がらない人がリストラされたり、部署が切り離されたり、この瞬間にも非常にドライにそのようなことがあちこちで行われています。貴社ではいかがでしょうか?

病気を悪いもの、不要なものと考えるのか、あるいはバランスがうまく取れていないために出ている症状だと考えるのか、それだけでマネジメントのやり方は大きく変わると思われます。そしてどうも、偉大な経営者として名を残している先人は、ある程度漢方的考え方を持っていたのではないかと思うのです。



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